DSM-W specifically places personality disorders on a separate axis of disorders.
訳
DSM-Wは人格障害を障害の独立した軸に特においている。
○ポイント1:DSM-W
DSMは、"Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders"の略で、アメリカ精神医学会が作成している「精神障害の診断と統計の手引き」のことです。詳しい説明はネット上のイロイロなところにあります。
例えば
・ウィキペディア
・私家版・精神医学用語辞典
・メルクマニュアル
などを見ると簡単な説明がありますが、更に簡単に言うと、「業界標準の診断基準」です。同じようなものに、WHOが発表しているICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems )がありますが、こちらは精神障害だけではなく、死因や疾病全般を扱った「業界標準の診断基準」です。
精神障害は、昔から、いろいろな研究者によって理論化・分類がなされてきて、理論家の数だけ分類の種類があると言っても過言ではない状況でした。これは不便だという事で研究者達が相談しあって、合意のもと決めたのが、DSMやICDです。
現在ICDは第10版、DSMはDSM-W-TRというのが使われています。
一応、DSM-W-TRの特徴を少しだけ。
○DSM-W-TRの特徴
1)症状記述的・操作的な診断基準
2)多軸診断により、患者の諸側面をとらえる
3)特定の学派にとらわれていない
DSMは本屋さんで売っています。
○ポイント2:place A on B
この文章の主語は"DSM-W"であり、"specifically"は「特に」という意味の副詞で次の"places"という動詞にかかっている、という事まではわかるとして、説明を続けます。
"place"という動詞を見たときに、"place A on B"のカタチを見ることが出来るかどうかが勝負となります。
英文のキモは動詞です。動詞が文全体の構造の可能性を決定すると言っても過言ではありません。
"place"という動詞を見たときに、"place A on B"の可能性を常に追えるようにする事は大事です。
で、意味ですが、「AをBにおく」です。
○place A on B
=AをBにおく
このような特有の、そしてよく出てくる「動詞のカタチ」をおさえることが重要です。
大学入試の時に皆さん勉強した「英文頻」なんかを軽く復習しておくといいと思います。基礎的なモノを紹介しておきます。もし、自身が大学入試の時に使ったものがあるなら、それを使えばいいでしょう。
○ポイント3:personality disorders
これは「人格障害」と訳します。人格障害は次の二点を満たすものです。
○人格障害
1)性格・行動傾向の偏り
2)周囲や本人が苦悩している
昔は、精神病質という名で呼ばれていたものです。現在DSMでは3カテゴリ10種類の人格障害が挙げられています。
○ポイント4:separateの訳し方
この部分、"a separate axis"をそのまま訳すと、「分離した軸」なんていう感じになってしまい、日本語として如何なものかという訳になります。
separateだけではなく、「離れた」とか「分離した」なんていう訳が可能な単語(例えば"discrete")が使われているときに、そのまま訳しても、日本語で何を言っているのかわからない時はよくあります。
こんなときにどうするか。普通に辞典をみると「別個の」なんていう訳語があるので、そっちをあてはめればいいのです。「分離した」だけではなく、「別個の」というのも頭の中の引き出しに入れておいて下さい。
さらにカッコよく(多少訳しすぎですが)いうと「独立した」なんていう訳が出来るようにしておくと便利だったりします。
○ポイント5:disorder
これの訳は文句なく「障害」です。「障害」と訳せる単語は結構多いです。
ざっと挙げると、impairment,disability,handicapがあります。
それぞれの意味の違いは以下の通り。
○「障害」の種類
impairment:機能・構造上の欠陥
disability:能力のなさ
handicap:社会的不利益
です。他にもありますが、ニュアンスの違いが問われるのは主にこの3つです。なぜなら、WHOがそう言っているからです。
そして"disorder"が一番包括的に「障害」を言い表している単語になります。
あとは、辞典で英単語を調べながら頑張れば訳せるはずです。
しばらく、人格障害についての英文を追いかけてみましょう。
今回のまとめ
○DSM-W:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの略「精神障害の診断と統計の手引き」
○ICD:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problemsの略「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」
↑上記二つは「業界標準の診断基準」
○DSM-W-TRの特徴
1)症状記述的・操作的な診断基準
2)多軸診断により、患者の諸側面をとらえる
3)特定の学派にとらわれていない
○place A on B:「AをBにおく」
○personality disorders:人格障害
○人格障害
1)性格・行動傾向の偏り
2)周囲や本人が苦悩している
○separate:「離れた」「分離した」「別個の」「独立した」
○disorder,impairment,disability,handicap:「障害」
impairment:機能・構造上の欠陥
disability:能力のなさ
handicap:社会的不利益